トピックス−活動報告

【14.07.24】なくそう、貧困と格差!若年層の人口流出

貧困問題に取り組む有識者による静岡県版「最低賃金アピール」が発表されるとともに、静岡県評は折から深刻となっている静岡県人口の社会減に対するアピールをリリースしました。
 

「最低賃金引き上げ!有識者アピール

今や日本の労働者の37%が非正規労働者で、35%が年収200万円以下のワーキング・プアです。家計は厳しく、モノは売れず、生産は縮小し、それが雇用破壊と企業の経営危機を招いています。収入が不安定なために結婚できず、子どもを産み育てられない人も増えています。低賃金の蔓延を放置し続ければ、社会の基盤が崩壊しかねない事態となっています。働いても貧困に沈む労働者をなくすためには、自己責任・自助努力に任せただけでは困難であり、法定最低賃金の規制力が必要です。
静岡県の最低賃金は749円です。2010年以降は全国平均から徐々に引き離され、2013年にはその差は15円と広がりました。749円では、法定労働時間上限の月173.8時間働いても130,176円、年収でも1,562,114円、いわゆるワーキング・プアです。
2014年1月、総務省が公表した2013年の人口移動報告では、静岡県は転出超過が北海道に次ぐ全国ワースト2位、静岡県がまとめた人口動態調査結果でも、東部が転出超過で全体の50%近くを占め、20〜30代を中心に勤労世代の県外流出が急増していることが判明しました。
湯河原の千歳川を挟んで、神奈川県と静岡県の最低賃金の差は119円もあります。月額2万円、年間25万円の差は若年労働者の首都圏への流出の大きな要因と言えます。私たちは、「最低賃金大幅引き上げと中小企業支援の拡充を求める意見書」の請願にとりくんでいますが、意見書を採択した自治体は、富士宮市、富士市、沼津市、伊豆の国市、伊東市、焼津市と県東部に集中しています。
2010年には政府と日本経団連、労働団体との間で、最低賃金は「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1000円を目指す」という「雇用戦略対話合意」が成立しています。大幅引き上げは国民的合意といえます。
そもそも労働基準法の第一条では「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」とあります。これをふまえ、働いて得る賃金の最低額を規定する最低賃金は、いくらとされるべきでしょうか。私たちの「静岡県の最低生計費試算」では、25歳男性が単身で自立して生活できる最低生計費は月額237,357円(税・社会保険料含む)となりました。時間給では1,366円となります。同じ方式で調査した東北・首都圏4都県・名古屋・京都・九州でも時間給は1,300円台となりました。「全国一律最賃制と時間額1000円以上の実現」という私たちの要求には合理的根拠があります。
最低賃金1000円は、中小企業には支払いが困難との見方もありますが、先進諸国では全国一律で時間額1000円以上(購買力平価換算)の最低賃金を設けている例は珍しくありません。それらの国々では、最低賃金を「労働者とその家族の必要」を支えるものと位置づけ、生活の最低保障を強めながら、消費購買力を高めて地域経済と中小企業の振興をはかっています。

県民のみなさん、中小企業支援策を拡充させながら、この夏、最低賃金の大幅な引き上げと地域間格差の是正を実現しましょう。併せて生活保護、年金、家内工賃、下請単価、農民の自家労賃、税金の課税最低限等を引き上げ、誰もが安心して暮らせる社会を実現しましょう。

【呼び掛け人】

阿部 浩基(弁護士)
加茂 大樹(弁護士)
塩沢 忠和(弁護士・自由法曹団支部長)
中澤 秀一(静岡県立大学短期大学部准教授)
大橋 昭夫(弁護士)
川瀬 憲子(静岡大学教授)
鳥畑 与一(静岡大学教授)
林  克 (静岡県労働組合評議会議長)

【賛 同 人】

大多和 暁 (弁護士)
久保田 和之(弁護士)
佐野 雅則 (弁護士)
平野 晶規 (弁護士)
林  弘文(静岡大学名誉教授)
小笠原 里夏(弁護士)
栗田 芙友香(弁護士)
弉 寿治 (弁護士)
芳賀 直哉(静岡大学名誉教授)



 

最賃引き上げと人口社会減見解

最低賃金の引き上げで静岡県人口の社会減を止めよう
2014年7月24日
静岡県労働組合評議会
議長 林  克
今、今年度の全国および静岡県の最低賃金の決定が日程に上っている。私たちは生計費に見合った全国一律最賃制度の創設を主張し運動してきたが、この間首都圏と地方の格差はますます開くばかりである。今、最低賃金の大幅な引き上げと首都圏との格差の是正が求められている。
静岡県はもとより全国において人口減少社会の到来が論議を呼んでいる。これは日本創生会議の増田元総務大臣が5月に発表した人口推計では、20〜39歳の若年女性の激減に伴い、「消滅」の可能性を指摘された自治体が県内では11市町に上るなど、人口減少対策が急務となっている。また今年1月の総務省発表による「社会減ワースト2」も大きなインパクトとして受け止められている。
県もこの22日に有識者会議を開き、「本格的な人口減少社会が到来している中、人口の自然増加につながる取組と社会減少に歯止めをかける取組を、総合的に推進する」とし、(1)子育て支援の充実、(2)人材の育成、(3)就業環境の整備、(4)本県経済の活性化と雇用の創出、(5)災害に強い県土づくりなど、短期と中長期の両方を見据えた施策を今後検討するとしている。
私たちは出生率に基づく人口減と、首都圏への人口流出である社会減とは区別して考えることが重要であり、社会減の対策として新たな雇用の創出と賃金の引き上げが必要と考える。
その中で私たちが指摘するのは、首都圏との賃金格差である。例えば神奈川県との県境である千歳川を挟んで、最低賃金は時給119円の差があり、それが若年労働力を中心とした首都圏への社会減の要因の一つとなっていると考える。首都圏への社会減が、西部・中部と比較して東部地方ほど顕著なものとなっており、それを反映してこの間最低賃金引き上げの自治体議会の意見書採択も東部に集中している。
最低賃金が、社会全体の賃金を引き上げる要因であることは、私たちがこの間指摘してきていることである。当面最低賃金を1000円に、一刻も早い全国一律最低賃金制度の実現を要求する。
そして静岡県が有識者会議、県民会議等で人口社会減対策を論議していく過程で、最低賃金をはじめ賃金引き上げを積極的に発言していく。

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